散歩

2025年4月
配信中に「桜を見に散歩してみたら」とコメントをもらった。
気力もあり、配信で話すネタにもなると思い、散歩をしに外へ出た。

引きこもりになってからも、年に数回は散歩に出かけることがあった。
元々歩くのは好きだったが、散歩をしていると、話し相手が欲しくなったり、お店を見ると「お金があれば入って何か買えるのに」と思ってしまい、自分の現状を考えて暗い気持ちになってしまうことがあった。
それから散歩への意欲がなくなった。


太陽光を浴びるとセロトニンが分泌され、気力が出るとネットで見たので、なにもする気がないのは引きこもっているからだと思った。
それに、ここ数年桜を見ることもなかったため外へ出る気にもなった。


桜自体には特に思い入れはない。
むしろ、別れや出会いの季節というイメージがあり、悲観的になってしまう。
別れも出会いも経験せず不登校だった暗い過去を思い出して、気が病んでしまう。

それでも、このまま引きこもっていても何も変わらないと思い、散歩なら気楽に行けると思って、水筒とスマホを持って散歩に出かけた。
引っ越す前の家の近くの川沿いに桜の木がたくさんあることを思い出し、そこに向かって歩きだした。

道中、自販機を見かけると、缶ジュース一本の値段が小学生の頃より20円ほど上がっていた。
美味しそうな飲み物があっても「自分は無収入だから、お金を使っても減るだけだし、水でいいや」と水筒の水を飲み歩き続けた。

目的の川沿いに着き、桜を見て「綺麗だけど、やっぱりなんか悲しくなる」と思いながらも配信のサムネイルに使うための写真を撮った。

川の水面には桜の花びらが絨毯のように流れていた。
綺麗だった。
この美しい景色を一緒に見て話せる人がいたら良いのにと、また悲しくなった。

それから少し遠回りをして、小学生の低学年時代に住んでいた家を見に行った。
私たち家族が住んでいた家はなく、綺麗なアパートが建っていた。
三兄とキャッチボールをした家の前の通り道が、自分が思っていたよりも幅が狭かった。
道幅が狭くなったわけではなく、自分がそれだけ成長したんだと実感した。
体が大きくなっても、中身はあの頃よりも暗くなった。
成長はしたが、より良い方に進んでいるとは思えない。
悲しくなった。


悲しくなっても仕方がないし、目的の桜を見ることはできたから、家に帰ってお風呂に入って汗を流そうと思った。
悲しくなることばかりだったが、体を動かしたことや太陽光を浴びたことで少し気分が晴れた。


散歩なら週に1回を続けられると思い、それから1カ月ほど続けた。
多い時で18km近く歩くこともあった。
その時は父から電話で「H、大丈夫か?迎えに行くか?」と心配された。
私は「もう家の近くだから大丈夫です。」と答えて無事に帰宅した。


散歩をしていると、下校する学生たちを見ることがよくあった。
そのたびに「自分も学校に行っていれば友達と何気ない話をして、彼らみたいに青春を送っていたのかな」と自分の過去を悲観することがあった。

散歩は気分が晴れ、続けやすかったが、どうしても学生を見るたびに辛くなり、それから散歩をしなくなった。


学生を見ても悲観的にならず、なんとも思わなくなるにはどうすれば良いか、自分の中で対処法が見つかるまでは散歩はしないと考えついた。


また気力が湧いてきても、散歩はせず家でできることをしようと思っています。

歩くことは嫌いじゃないので、いつかは電車に乗って山にハイキングに行ったり、知らない街を散歩したりしたいなと思っています。
そのためにはまず、電車賃を払えるように収入がないと…

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